明け方クラブ帰りの彼女から電話がくる。 iPhoneの画面が割れたと、それをタダにしたいという。 「ずるいことは、田原に相談するのが一番やけー」と甘い声を出す。 土曜なのに、仕事な俺と。 夜遊びから帰りの彼女。 朝の数分、入れ替えの間。 まるで舞台袖での会話。 転換の間に、今の俳優と次の俳優が会す。 それに近い。 職場に着くまでの40分。 彼女は、25分ぐらいのところで、思いついたように言う。 「そーいえば、メイ、今好きな人がいるけー」 分かってる。彼女は良い女だ。予想はしてた。 こんなに長く空き状態が続くわけがない。 今は彼女とは希薄な関係だ。 彼女が空いた時間に、電話かけてきて、少しだけ話す。 仕事の哲学、恋愛の疎ましさ、過去のセックス、俺があの時に恋人がいなければ、そんなことを話す。 俺は、彼女との会話も、彼女との情事も好きだった。 本人には伝えてないが、何度かは彼女と付き合うことも