SNSで見も知らぬ者から攻撃を受けた経験をお持ちか。 筆者はある。 忘れもしない。2006年12月31日に秋山成勲が引き起こした、いわゆる“ヌルヌル事件”が事の発端だった。事件の現場となった試合の、対戦相手の桜庭和志の記述をきっかけに、運営していたブログが炎上してしまったのだ。 ある日、ブログを見ると、目を疑った。まるでストップウォッチの0コンマ何秒の数字のように、コメント欄の書き込みがどんどん増えていくではないか。しかも、その大半は「死ね」「人生終了」「早くライターを辞めろ」といった罵詈雑言だった。 その言葉が次々と重なり合うようにして胸に突き刺さってくる。 程なくして、思考停止に近い状態になった。得体の知れない汗が吹き出す。世間全体が敵に回った錯覚に陥った。 なぜ見も知らぬ人の指図で死んだり、辞めなければならないのか。 時間が経つと反論したいという思いが頭をもたげたものの……そういうこ