存在の偉大な連鎖 中世から近代初期にかけて、西洋のスコラ哲学者たちは、世界の多様性を説明する仕組みとして、「存在の偉大な連鎖」を考えていた。それは世界の多様性を、石ころから神へと上っていく階級制度に置き換えたものだ。存在の偉大な連鎖において、ヒトは動物の中では一番上だが、天使よりは下に位置している。 この存在の偉大な連鎖は、「神は存在しうるものすべてを創造した」という世界観に基づいている(『移行化石の発見』ブライアン・スウィーテク、文藝春秋)。つまり、この世には、存在できるものすべてが存在し、欠けたものはないということだ。鎖の中で隣り合っている環わと環はお互いによく似ていて、ほんの少し違うだけだ。そういう環が途切れなくつながって、この世界を満たす多様性を作っているというのである。 だから、隣同士の環と環は、よく似ているはずなのだ。ところが、ヒトの両隣りは、天使とサルである。天使はともかく、
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