一度だけ、一度だけ本当に人を殺そうとしたことがある。その時に驚いたのが「親に迷惑がかかる」という事実は全く足枷にならない。という事だったんだよね。その時まで(親に迷惑がかかる、と思えば私は絶対に殺人というか、犯罪行為は出来ないだろう)と信じていたから本当に驚いてしまいました。 自分なんて他人と同じぐらい信じられない存在なんだという事もその時にあっさり知れました。 なのに不思議と「姉の子供」という存在が大きく迫ってきたんだよ。「姉の子供」「1歳」「賢そうな男の子」「あの子は、賢くて優しい」「いつか、この理解できなくていいことを理解しようとするだろう」「わからなくていいのに」「だからだめだ」と思ったんだよね。不思議だね。 あの子がいなかったとして、犯罪者になって、親も姉も妹も人生がめちゃくちゃになってたとして、それでも私はどこかで開き直ったような気持ちでさほど後悔もなく刑期をつとめたと思う。私