この記事の写真をすべて見る ライター・永江朗氏の「ベスト・レコメンド」。今回は、『コード・ガールズ』(ライザ・マンディ著 小野木明恵訳、みすず書房 3960円・税込み)を取り上げる。 * * * 山本五十六を殺したのは鉛筆を持った女たちだった! なんていうと異世界ファンタジーかと思われそうだが、ライザ・マンディの『コード・ガールズ』は第2次世界大戦で暗号解読に従事した女性たちについてのノンフィクションである。彼女たちは日本軍の暗号も解読していて、連合艦隊司令長官・山本五十六の行動計画も筒抜け。山本の搭乗機は米軍に待ち伏せされ、撃ち落とされたのだった。 暗号解読に従事したのは、高い教育を受けた優秀な女性たちだった。愛国心が強く、口が堅かった。しかし、当時のアメリカには彼女たちの就職口がなかった。そこに軍は目をつけた。1万人以上の女性がワシントンに集められ、日本やドイツの暗号解読に取り組ん
