別れを惜しむ第71大喜丸の前田晃寿船長(左端)とインドネシア人乗組員たち。右端は前田船長の妻美保子さん=宮城県気仙沼市、岩田写す冗談を言い合って別れの時を惜しむ、第71大喜丸の前田晃寿船長(手前)と、インドネシア人の船員たち=宮城県気仙沼市、岩田写す 大津波は水産業の現場を支えてきた外国からの研修生や実習生の人生も、一変させた。津波に漁船や工場がのみ込まれ、働く場をなくした人たちは涙ながらに帰国した。漁船で沖に出たまま、行方が分からない人たちもいる。 「元気でね。泣かないの」。宮城県気仙沼市の水産加工会社大島水産で働く伊藤あつ子さん(60)は、握った手を離そうとしない中国人研修生、李怡(リー・イー)さん(26)を抱きしめた。震災後、不安げな姿を見て、伊藤さんは避難所の同じ教室で寝泊まりしてきた。「ずっと一緒にいてくれた。お母さんみたいな人。離れたくない」。李さんは泣いた。 帰国のため