世間を震撼させた凶悪殺人犯と対話し、衝動や思考を聞き出してきたノンフィクション作家の小野一光氏。残虐で自己中心的、凶暴で狡猾、だが人の懐に入り込むのが異常に上手い。そんな殺人犯の放つ独特な臭気を探り続けた衝撃の取材録が、幻冬舎新書『人殺しの論理 凶悪殺人犯へのインタビュー』である。 発売6日で即重版となった大反響の本書から今回は第3章「松永太の笑顔――北九州監禁連続殺人事件」を公開。犯罪史上稀に見る残虐な事件は、漫画『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平氏、小学館)の「洗脳くん」や、小説『ケモノの城』(誉田哲也氏、双葉社)などのモチーフとなったことでも有名である。小野氏は実際に対面した主犯の松永太からどのような印象を受けたのだろうか? 始まりは17歳少女の監禁・傷害事件だった 吐き気をもよおすほどの嫌悪感しか生まれない、おぞましい事件というものがある。 それを初めて知ったのは2002年のこと。なに