針葉樹が覆い繁る薄暗い森の中、一人の少女と、一匹のクマが出会った。 後ろ足で立ち上がり、踊りを求めるかのように右手を差し出す灰色のクマ。 それに応じる少女。 まさに童謡「森のくまさん」のシチュエーションだ。 手と手を取り合い、互いに見つめ合う。 森に迷い込んだのか、それとも夢の中なのか。 深い森に似つかわしくないシャンパンピンクのドレスが、幻想的イメージを紡ぎ出す。 これがイラストならば何の驚きもない。 しかし本作は写真だ。 人間など一薙ぎで殺傷する、凶暴な動物と直に接する少女。 あまりに近距離、あまりに無防備。 身に迫った危機的状況と、メルヘンチックな表層が、息をのむほど美しい世界を作り出している。 この驚くべきワンダーランドを捉えたのは、ロシアの写真家Katerina Plotnikova。 1987年生まれの気鋭のフォトグラファーである。 ここに登場する動物たちはみな生きた本物で、プ
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