臨床心理士・東畑開人さんの最新刊『雨の日の心理学』は、職場で、家庭で、身近な人のこころをケアする人のための心理学入門。 「雨の日」とはそもそもどういうことなのか? まえがきを全文公開します。 まえがき――雨の日のガイダンス こころのケアははじめる●●●●ものではなくて、はじまってしまう●●●●●●●●ものである。 つまり、自主的に、計画的に、よく考えて契約書にサインしてから開始するものではなく、受け身的に、期せずして、否が応でも巻き込まれてしまうものです。 よく晴れた休日に散歩に出かけたら、突然大雨が降ってくるようなものです。そういうとき、僕らは当初の予定を変更して、とにもかくにも雨宿りをできる場所を探したり、傘を買ったりしなければいけなくなります。 同じように、ある日突然、身近な人の具合が悪くなる。 子どもが学校に行けなくなる。パートナーが夜眠れなくなる。老いた親が離婚すると言い出す。部