何気なく発したことばから、思わぬ本音がこぼれ落ちることがある。 たとえば、「PVを稼ぐ」という表現がある。ほとんどの人は無意識に使っているだろうけれど、PVには「稼ぐ」の動詞が用いられる。しかし、出版の世界で「50万部を稼いだ」などと表現することは、ほぼありえない。せいぜい「50万部を記録した」だったり「50万部を突破した」だったり、あるいは動詞を用いず「50万部のベストセラー」と表現したり。それが出版界のカウント方式だ。じゃあ、どこから「稼ぐ」のことばが出てきたかというと、やはりテレビ業界だろう。当該番組の視聴率について、テレビ業界の人たちはしばしば「稼ぐ」の語を用いる。 ところがおもしろいことに、当該番組がDVD化され、大ヒットした場合にはやはり「50万枚突破」などとカウントする。「50万枚を稼いだ」とは言わない。 なぜか。DVD化するとは、つまり「モノ化」するということだ。そして、モ
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