【識者の眼】「PCR検査をめぐる再混乱─集団的同調圧力で決めてはいけない」岩田健太郎 No.5010 (2020年05月02日発行) P.58 岩田健太郎 (神戸大学医学研究科感染治療学分野教授) 登録日: 2020-04-23 最終更新日: 2020-04-23 患者数が少なかった時期にはこの方法はうまく行っていた。が、患者数が増えるとむしろこの方法こそが医療現場を疲弊させ、崩壊寸前にまで至らしめてしまった。検査基準を満たさぬと検査を断る保健所。検査を求めていくつもの医療機関をハシゴする患者や救命救急士たち。行き来する保健所と医療機関の折衝の電話。さっさと保健所を介さずに検査できていれば回避できていた混乱である。 患者数が増えてPCR検査のニーズも増えた。当初は一部の「専門家」の失笑すら買っていた韓国のドライブスルーも「実は便利だよね」ということでなし崩しに導入された。それはいい。 しか