(2013年7月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 西側諸国は中国に怯えている。しかし、中国の目にはこの世界がどのように映っているのかということに、西側諸国が着目することはめったにない。確かに、中国は経済の面で長足の進歩を遂げた。だが、中国人が今も目にしているのは、先進国に牛耳られている世界経済だ。 中国の視点から世界を眺めることができる数少ない西洋人の1人に、ケンブリッジ大学のピーター・ノーラン教授(中国発展論)がいる。昨年上梓された示唆に富む著作*1の中で、ノーラン教授は中国に対する大きな恐怖感の1つを取り上げた。つまり、中国が世界を買っている、という不安である。 中国は世界を買ったりしていない、我々は中国の中に入り込んでいるが、中国は我々の中に入り込んでいない――というのが、教授の答えだ。 これがどういう意味なのかを理解するには、技術進歩を原動力にグローバル経済の統合が進んだ過