スマートフォンを取り出して、地図アプリを開く。画面上に現れる青い点は、数秒で誤差数メートルの精度を出す。上空約2万kmを周回する衛星群から届く電波がその源だ。これは今や誰でも当たり前のように使う機能だが、2000年5月2日の夜明けより前、民間人がこの精度にアクセスすることは意図的に禁じられていた。 GPSとは、「Global Positioning System(全地球測位システム)」の略称だ。現在は世界各国が独自の衛星測位システムを持ち、これらをまとめてGNSS(Global Navigation Satellite System)と呼ぶが、日本で一般的に「GPS」と言う場合、米国が運用するこのシステムを指すことが多い。そのGPSは、核ミサイルの精度を高めるために米国防総省が構築した軍事システムだ。民間に開放されてからも、国家は長年にわたって意図的に誤差を仕込み、精度を独占した。技術が「

