関東地方でアミューズメント系レストランやおもしろ雑貨店などを運営する会社に、経理部長として出向した元銀行員のSさん。一介の商店主だった先代を継ぎ、大きく飛躍させた二代目社長の興味深いエピソードを聞かせてくれました。 昨年度の決算を前に、部長たちを集めた会議で社長からこんな提案があったそうです。 「今年は皆さんのがんばりもあって、大きく利益が出る見通しになった。これは社員の皆さんに還元した方がよいかと思っている」 部長たちの反対に「君たちのためにやるんじゃない!」 「やった、期末賞与支給か!」。部長たちの表情が緩んだ瞬間、社長はこう続けました。 「ついては、会社の創業20周年も兼ねて、社員旅行で皆を海外に連れて行ってはどうかと思っている。具体的には、3泊4日でフィリピン・ツアーを考えているのだが」 会議室は一瞬静まり返ります。しばらく間があった後、飲食店舗を統括する部長が沈黙を破って遠慮がち