◇米国よりもメリットが少ない日本の電子書籍◇ アップルがiPadという多機能端末を発売した。アマゾンのキンドル、ソニーのリーダーに次ぐ電子書籍端末の登場であり、米国では電子書籍バブルという新たなITバブルが始まった感もある。それでは、日本でも電子書籍は普及するだろうか。そして、それは出版業界にどのような影響を及ぼし、出版文化にどう作用するだろうか。 まず、米国では今後どの程度電子書籍が普及すると見込まれているのだろうか。あるレポートによると、5年後には大人の3分の1が電子書籍端末を使うようになると予測されている。すごい普及のペースである。しかし、電子化された書籍の普及度合いについて見てみると、米国の書籍売上げに占める電子書籍のシェアは2009年で1.5%にすぎない。今後については、2013年の段階で6%程度にしか増えないという予測から、25%くらいまで普及するという見方までさまざまであ