各人が最も希望する場所の単記投票を主張していた次郎が、「多数決に従ってパブとカラオケの決選投票の結果パブに決定だ」と早くも手配の電話をかけようとするところに恵子が待ったをかける。「ちょっと待ってよ。こんな場合、一番嫌なところを消していく消去法が採用されるべきでしょ。だったらカラオケが一番嫌だっていうのは一人だけなんだからカラオケに決定よ。第一、カラオケを二位以上に挙げている人が六人もいるのよ。」 最後まで黙っていた太郎がおもむろに口を開いた。「諸君、会のモットーを忘れちゃったのか?まず居酒屋とパブを比較してごらん。4対3で居酒屋の勝ちだろ。次にパブとカラオケを比較すれば同じく4対3でパブの勝ちな訳だ。推移律に従って僕の提案したとおりの居酒屋>パブ>カラオケという順番になるのは自明じゃないかい。」 太郎の論理的説明に誰もが首をかしげながらも納得しかかった時に部屋に入ってきたのが、飲み会の時に