外国人泣かせの通帳印 橘玲の「不思議の国」探検 Vol.4:『日経ヴェリタス』2009年11月15日号掲載 前回は、日本の銀行の「ハンコ原理主義」でいかにみんなが迷惑しているかについて書いた。でもいちばん困っているのは、日本に住む外国人だ。 知り合いのカナダ人から、「舞恋人」というハンコを見せられた。怪訝な顔をしていると、「お前は日本人のくせに漢字も読めないのか。ブレントだよ」と馬鹿にされた。ドイツ人で、「趣味人」という洒落たハンコを持っている友人もいた。こちらは「シュミット」と読む。 日本の銀行は、外国人でも正規のビザを持っていれば口座を開けてくれる。だけどそのためには銀行印が必要だ。それで、名前に似せたヘンテコなハンコをつくるようになった。 だけど、みんながぴったりの漢字を思いつくわけじゃない。今ではいろんな国から人々がやってくる。たとえばアハマディネジャド(イラン大統領)という名前だ