脳の働きの一部に異常が起きる病気「統合失調症」は本人の自覚がないままに進行する。重症化を防ぐためには、家族や周囲の人が早く異変に気付くことが大切だ。産業医科大学 教授の中村 純(なかむら・じゅん)さんに統合失調症を引き起こす原因についてうかがった。 * * * ■統合失調症とは 「統合失調症」は、脳の働きの一部に異常が起きる病気です。およそ120人に1人の割合で発症するといわれており、それほど珍しい病気ではありません。 ◆原因 人間の脳には、目や耳からさまざまな情報を受け取り、それらの情報を処理して、実行器官に指示を出すという働きがあります。こうした情報のやりとりを行うのが、さまざまな「神経伝達物質」です。しかし、統合失調症では、この神経伝達物質が脳の中で過剰に分泌されたり、反対に減少したりすることで、目や耳からの情報を正しく処理できなくなり、脳に混乱が生じます。 病気の根本的