文責:林東国 序言 『ブルーアーカイブ』程に、所謂「韓流」の流行以後に日本人が抱いてきた韓国文化観を根本的に転換せしめたコンテンツを思い浮かべる事は出来ない。けれども、韓国は元来ネットゲーム大国であり、『ブルーアーカイブ』の開発スタッフもまた、NEXON社に於いてネットゲーム制作でキャリアを積んできた人物が大勢を占めている。その為、実のところ『ブルーアーカイブ』自体は明確に韓国のコンテンツ産業史の上に立ちつつも、そこに日本製のノベルゲームの要素を加え入れたという点に於いて特異点を持つ作品であって、日本人としての文化史的視点から見たドラスティックな転回をそこに見出す事は難しいのである。 時に「韓流」は、一面では日本人に喝采を以て迎え入れられてはいたものの、もう一面では日本人に強烈な違和感をも抱かせていた。2010年代初頭に、フジテレビを始めとする主流メディアが「韓流」のステルスマーケティング
