ここ数年の新しい生活様式の中で、公共の場に求められるものはどのように変化しただろうか。そう思いを巡らせるようになったきっかけは、今じわじわと人気が広がる「一箱本棚オーナー制度」との出会いだった。 この制度は、図書館に自分だけの本棚を持つことができる月額制オーナーの仕組み。モノも人も出会いがデジタル化され必然的になるこの時代に、フィジカルで偶然性の高いこの制度が支持を集めている点に、筆者は“公共”の新たな可能性を感じた。 今回は、そんな「一箱本棚オーナー制度」を全国に広げるきっかけとなった、静岡県焼津市の小さな図書館「みんなの図書館さんかく」を訪れた。 誰もが参画できる仕組みづくり 元おでん屋の店舗を改装した同館は、引き戸を開けてふらりと入りやすい雰囲気。 2020年3月、焼津駅前通り商店街に開設された私設図書館「みんなの図書館さんかく」。その名前には、訪れた誰もが主人公として「参画」する場