日本政府と石炭業界は、石炭火力発電所においてアンモニアを混焼燃料として利用することにより二酸化炭素排出を削減できるとして、これを脱炭素に向けた戦略として推進しています。しかし、アンモニア混焼には、排出量削減力、コスト競争力、さらに大規模展開における技術的実現可能性の面においても限界があります。そのため、世界の気温上昇を1.5°C未満に抑えるための道筋とは相容れないものがあります。確固たる排出量削減規制のない中、混焼に期待を託しているうちに、ゼロエミッションを実現できる既存の選択肢、しかも実行可能で大規模展開も可能な技術的選択肢の導入が遅れてしまうかもしれません。本記事では、日本が掲げる脱炭素に向けた戦略としての限界やリスクに焦点を当て、混焼について解説します。 アンモニア混焼とは 混焼とは、燃焼に用いる石炭の一部をアンモニアに置き換えることを指します。アンモニアを燃やせるように発電所を改修
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