生まれて初めて他人から水をかけられる経験をした。 コップの水を相手にバシャーってやつだ。 とある学会の立食会での出来事だった。 学会の後には学生や指導教員を交えての立食会があることがある。 それは発表者がお互いをねぎらい、そして議論を行う場でもある。 私はこれまで同じような場でそうしてきたように、他の発表者たちと研究に対する議論を繰り広げていた。 私は表彰を受けた発表者Aの発表内容が気に入っており、その場にAはいなかったが、Aの研究内容に関して言及していた。 特にある実験の結果に関して気になることがあり、A自身がどう考察したのか詳しく聞いてみたいという内容だ。 これが、不幸の引き金となった。 Aは私の話をすごく中途半端に、離れた場所から聞いていたのだ。 そして彼は発表をバカにされていると勘違いを起こしたのだ。 結果、私は突然水をかけられた。 ――後でAに会って、「おめでとう」と声をかけ、議