「借金も収入だ」などと個人が言ったら、サラ金でカネを借りまくっている多重債務者と思われるにちがいない。が、それが長い間まかり通ってきた世界がある。市町村など地方自治体だ。 本書では、借金である「地方債」をバンバン発行し、ホールなどの「ハコモノ」をせっせと作った市町村が、返せる見込みの立たない膨大な借金を抱えて首が回らなくなってしまった信じられないような実態が、豊富な実例とともに紹介されている。 冒頭は「倒産」した夕張市のルポだが、これがなかなか読ませる。過疎化が進み、医療や福祉など最低限の住民サービスすらままならない現状に、やるせなさすら感じさせられるが、それが借金で放蕩生活を送った結果ということが分かると「自業自得だな」と思い始める。 夕張市は、炭鉱の閉鎖で人口が急減し、税収と地方交付税交付金が減少したにもかかわらず、身の丈を越えた財政支出を続けてきた。撤退するリゾート会社から「ホテルシ
![借りた金は自分のもの、という「常識」~『自治体倒産時代』 樺島秀吉著(評:石山新平):日経ビジネスオンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/05f492a9ba706b05ca8fd61b1840b099fb59fdc9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkeibp.co.jp%2Fimages%2Fn%2Fnbo%2F2011%2Fcommon%2Fnbologo_ogimage.png)