胸ぐらいまであった髪の毛を肩くらいまでに切った。理由は、暑くなってきたから。生まれ持った丸顔を隠して生きていくには両サイドに適量の髪の毛が必要で、けれども胸の長さまであると夏はセルフサウナ状態になる。だから今年は思い切って散髪してみた。美容院で髪を切られながら読んでいた雑誌には、佐々木希がいた。黒髪ロングの希は華があって今日も可愛い。女の理想の姿がそこにある。ふと顔を上げたら私は茶髪ショートの平凡な顔だった。これでは何もかも希と真逆になってしまったではないか。暑いから、という理由で女にとって大切な髪の毛を切ってしまって本当に良かったのだろうか。けれども昨年の夏何度「坊主にしたい」と呟いたか分からない。きっとこれが正しかったと思える日が来るのだ。 数グラム程度頭が軽くなっただけなのに、髪の毛を切るとどうしてこうも気分が上がるのか、私は帰宅するなり部屋を片付け始めた。長らく床に放置されていた雑