安河内:前回、「『英語でしか得られない』医学の知識を得るためにアメリカに渡った」と伺いました。さらに、同僚の研究者たちとMRIの研究をする中で、苦手なリスニングを克服されたそうですね。 その当時、たとえば、「MRI」などの意味を日本語から英語へ変換しながら聞いていましたか? 加藤:していませんでした。というか、当時は必要がなかったんですよね。MRIというのは、装置のことなので見ればわかりますよね。「あの装置=MRI」というふうに、直接、英語で覚えてしまう。 脳は、たとえば「野菜」や「動物」など、目で見えるものの名称の方が、記憶に残りやすい性質があります。象を見て「elephant」と見れば記憶に残りやすいですが、逆に「思いやり=compassion」など、「目で見えないもの」は覚えにくいわけです。 「英語の回路」をゼロから作るには、「ものを見たらすぐに英語で名称を答える」ように、「目で見え