『日本サッカー代表監督総論』(戸塚 啓/双葉社) サッカーファンなら「ジーコジャパン」「ザックジャパン」といった表現にはなじみがあるだろう。日本代表チームをメディアが報道するとき、「監督名+ジャパン」で呼ぶことが通例となっているからだ。もちろん、こうした呼称はほかのスポーツの報道にもある。しかし、サッカーについては特に傾向が強くないだろうか。 監督がチーム名に冠されるのは、「日本のサッカー」が定まってこなかった証でもある。世界の強豪代表チームを見れば、監督が誰だろうとベースとなるサッカー観に大差はないことがわかるだろう。2018年のロシアW杯を経て、ようやく日本代表は核とするべきチームの形を見出せるようになった。『日本サッカー代表監督総論』(戸塚 啓/双葉社)は、歴代の代表監督の分析を通して、「日本のサッカー」を模索する過程を振り返る一冊である。 さて、「日本のサッカーが定まってこなかった