「この歳になって若く見えるって、別に武器でも何でもないからね」 比内地鶏の焼き鳥を頬張りながら彼女は言った。 「社会人になってから、見た目が大学生って。そこ、喜ぶところじゃないよ」 彼女は口に含んだ焼き鳥をビールで流し込んだ。 年を取れば取るほど、「若く見えること」はアドバンテージだと思っていた。 化粧水やらシャンプーやら、美容グッズ的なものにお金を使ってきたのも、若く見せるためだった。 街で初めて会う女の子に、 「大学生みたいだね」 とか、 「その歳に見えなーい」 なんて言われて嬉しかった。 若く見えるって得だな、と内心ほくそ笑んでいた。 頭頂部が薄くなってきた高校の同級生や、肌がしわくちゃになり始めた大学の同期を見て、安心していた。 自分への投資が報われたようにも思えた。 少なくとも、俺はジジイには見えないはずだ。 彼女は言う。 「仕事を頑張ってるんだったら、それなりにお金を稼いでるん