昔々ある高円寺の1LDKに、おじいさんとおばあさんが同棲していました。結婚はしていません。 おじいさんが山の隠れ家風カフェに、おばあさんが川へ一眼レフを持って日常を切り取りにいくと、川上から大きな桃がヴィレッジヴァンガードヴィレッジヴァンガードと流れてきたので、おばあさんの黒縁メガネがキラリと光りました。 「まあ、なんて飾りがいのある桃なのかしら。中をくりぬいて間接照明にして、あとでインスタグラムにアップしましょう」 よくわからないお香が焚かれた部屋に桃を持ち帰って割ってみると、中から大きな赤ん坊が現れました。 「ねえナンシー(あだ名)、この子の名前、桃から生まれたから桃太郎っていうのはどうかな?」 「そのセンス、松尾スズキっぽい(笑)」 それから桃太郎はすくすくと育ち、青春時代をオーケンに捧げたかいもあって立派な好青年になりました。ある日、桃太郎は二人に言いました。 「今日まで育ててくれ