新型コロナウイルスで売り上げが減少した中小企業などに最大二百万円を給付する持続化給付金で、国の委託先である一般社団法人サービスデザイン推進協議会が広告大手の電通に対して、事業の大半を再委託していることが分かった。国の委託費の97%は法人経由で電通に流れる。実質的な給付事業は電通が行っているといえ、法人の実体の乏しさが鮮明となった。
悪質なマルチ商法だとして二〇一七年に消費者庁から業務停止命令を受けた暗号資産(仮想通貨)販売会社「48(よつば)ホールディングス」(札幌市中央区)の役員が、「桜を見る会」に出席した際の写真が、組織的に会員勧誘に使われていたことが、関係者の話で分かった。前日に安倍晋三首相の後援会が東京都内で開いた「前夜祭」で、安倍首相夫妻と写った写真も会員間に出回っており、会員は「写真を見せると『すごいね』となり、信用してくれた」と話している。(石井紀代美) 48社は、一五年十二月、新しい仮想通貨だとする「クローバーコイン」の販売を開始。購入した会員が新規会員を勧誘すると報酬が出るマルチ商法だった。「購入すれば一カ月半後には十倍に値上がりする」などとして会員数を伸ばし、一七年七月時点で会員は約三万五千人だった。 本紙の取材に応じた東海地方の女性会員によると、一六年に上位会員が開いたセミナーで、48社役員(当
政府と民間が資金を出して運営する官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が出資した事業のうち、少なくとも七件が機構の株主企業六社に関連していたことが本紙の取材で分かった。公的資金が株主企業に還流された形で、機構の中立性が揺らぐ可能性がある。機構の投資先を決める内部組織に投資先企業の役員がいたことも判明。識者は、公的投資の名目で私企業の利益を図る「利益相反」の疑いを指摘する。 (大野暢子) 本紙は、機構が二〇一四~一九年に公表した出資三十二件の内容を事業報告などから調べ、株主六社に関係する出資を計七件確認した。総額は百九十六億円。出資全体の三割にあたる。 株主の出資額の二十倍超を支援した例もある。機構は一四年九月、中国・寧波への商業施設出店事業に百十億円の出資を決めた。この事業は、機構に五億円を出資する株主の「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング」(大阪市)が中心を担っ
安倍晋三首相後援会が、東京都内のホテルで開いた桜を見る会の「前夜祭」名目の夕食会をめぐり、首相は「会費は五千円。安倍事務所は補てんなどしていない」と説明した。同ホテルの宴会の基本料金は一万一千円からで、首相の説明通りなら差額の六千円分をホテルが首相側に割引サービスしたことになる。それは政治資金規正法で禁じる寄付に当たらないのか。(佐藤直子) ◆「立食パーティーは最低1万1千円」とニューオータニ広報担当者 まず、安倍首相の説明を振り返りたい。東京・紀尾井町のホテルニューオータニで八百人が集ったとされる夕食会について、首相は「安倍事務所の職員が一人五千円を集金し、ホテル側が発行した領収書を手渡した。集金した現金はその場でホテル側に渡す形で参加者からホテル側への支払いがなされた」とした。 常識的にニューオータニでの大宴会が一人五千円で済むはずがない。実際、同ホテルの広報担当者は本紙の取材に「一般
「桜を見る会」で招待客と記念写真に納まる安倍首相(中央)と昭恵夫人=4月13日、東京都新宿区の新宿御苑で 安倍晋三首相が各界の著名人らを招いた今年四月の「桜を見る会」に、地元・山口県の支持者約八百五十人が参加した可能性があると、共産党の田村智子氏が八日の参院予算委員会で指摘した。田村氏は「税金を使った行事で後援会活動をしている」と批判した。
二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策の目玉である道路の「遮熱性舗装」が、逆に熱中症のリスクを高めるとする研究論文が三十日発表される。太陽光の反射によるとみられる熱で人の顔の高さの気温や熱中症の指標となる暑さ指数(WBGT)が上昇するという。都は都道約百三十キロに整備済みだが、研究者は「今のまま突き進むのは危険」と中止を訴えている。 論文は東京農業大の樫村修生教授(環境生理学)が、日本スポーツ健康科学学会で発表する。七月二十六日と八月八日の日中にさいたま市内で、遮熱性舗装と、隣接する通常のアスファルト舗装の道路上で気温などを計測、比較した。 気温は両日とも、路面からの高さ五十センチ、百五十センチ、二百センチの三カ所の全計測点で、遮熱性舗装の方が高かった。百五十センチでの最高気温は四一度で、アスファルトより二・六度上回った。気温と湿度、日射量などから導くWBGTも一・三度高かった。
外国人労働者受け入れを拡大する入管難民法などの改正案を巡り、立憲民主党など野党七党派は三日、失踪した技能実習生から聞き取ったすべての生データ(聴取票)の書き写し作業を終え、集計結果を公表した。およそ三人に二人が失踪前、最低賃金を下回るような給与水準で働いていたとしている。 野党が書き写したのは、法務省が二〇一七年に失踪者二千八百七十人から聴いた聴取票。一部の聞き取りに重複があったとみられ、計二千八百九十二枚。十一月十九日から衆院法務委員会などの理事らに閲覧が認められ、野党が書き写しを続けてきた。今回すべての集計を終えた。 野党が、書き写した聴取票から時給を計算したところ、千九百三十九人(67・0%)が一六年の全国最低賃金(七百十四円)を下回った。野党は、回答した失踪者の多くは一六年に働いており、賃金を含む過酷な労働環境に耐えかねて失踪したとみている。失踪の動機では「危険」「指導が厳しい」「
海賊版サイト対策を検討する総務省の有識者会議は五日、接続時に利用者側の画面に警告を示す「アクセス警告方式」実施について、憲法で定める「通信の秘密」に抵触する恐れがあり困難とする報告書案を取りまとめた。今後はパソコンやスマートフォンに設定する「フィルタリング方式」といった端末側の対策強化を求める。 海賊版サイトには漫画や書籍、映画などが著作権者の了解を得ないままインターネット上に掲載されている。商品の売り上げ減につながるため出版業界などから規制を求める声が上がり、政府は昨年から海賊版への接続をネットワーク側で制御する検討を進めたが、効果的な具体策は打ち出せなかった。 アクセス警告方式は、インターネット接続事業者が利用者の接続先を確認し、海賊版サイト閲覧時に警告を表示する手法。海賊版以外の一般のサイトを含めた接続先を確認することに否定的な意見もあり、報告書は契約約款などで利用者から包括的に同意
首相が各界の著名人らを招いて毎年四月に東京・新宿御苑で開く「桜を見る会」の費用が、二〇一八年度は予算の三倍となる約五千二百万円に上ったことが、十三日の衆院決算行政監視委員会で明らかになった。第二次安倍政権の過去五年間、同じ額の予算を計上しているが、実際の支出は毎回、予算を上回り、増え続けている。参加者の増加が主な原因だ。 会の予算は、一四年度以降は毎年度千七百六十万円余。支出は一四年度の約三千万円から年々増加。参加者も一四年度の約一万三千七百人から、一八年度は約一万七千五百人に増えた。本年度は四月十三日に開かれ、参加者は約一万八千二百人に膨らんだ。支出は確定していない。 費用は、会場設営や警備費、飲食費に充てられる。内閣府の担当者は同委員会で予算額について「準備、設営に最低限必要となる経費」と説明。その上で「実際は金属探知機などのテロ対策強化や参加者数に応じた飲食提供など、予算額を上回る経
同性愛者ら性的少数者(LGBT)などへの支援策を検討する茨城県主催の会合で、県医師会の満川(みつかわ)元一副会長が「性的マイノリティー(少数派)の人に、マジョリティー(多数派)に戻ってもらう治療はないのか」と発言した。性的少数者の当事者らは「ショックだ」と不快感を示している。 (鈴木学) 会合は、性的少数者のカップルを公認する「パートナーシップ制度」を含め県ができる支援策を検討する目的で、当事者や医師、弁護士など計十人の委員が六月まで四回開く予定。発言は四月二十五日の初回で、委員それぞれが考え方を述べていた際にあった。 満川副会長は「性的マイノリティーの人に、性的マジョリティーに戻ってもらう治療はないのかという思いはある」と発言し、「少子高齢化の時代、産婦人科医としては一人でも多くの子どもをつくっていただきたい。戻っていただけないかと医者としての思いがある」とした。 この発言に、当事者で、
令和への改元を控え、「平成経済」を知るための重要な指標の一つである「賃金伸び率」の検証が、今年一月に発覚した政府の統計不正のためにできなくなっている。政府が毎月勤労統計の集計で不正を行っていた期間の資料を廃棄したことで、八年分の賃金が分からなくなったからだ。公表された資料には空欄が並ぶという、異様な状況となっている。 (渥美龍太) ルールでは全数調査をしないといけない東京都分の大規模事業所を、厚生労働省が二〇〇四年に勝手に抽出調査に切り替える不正を始めたため、以降の調査結果が実態より低く出るずれが生じていた。これにより、延べ二千万人超が雇用保険などを過少に給付されていたことが分かった。 問題発覚後、厚労省は一二年以降の結果を再集計して本来の数値を再現したが「〇四~一一年分は調査票などの資料を廃棄・紛失していて再集計ができない」(厚労省の賃金統計担当者)ため、公表資料を空欄とした。この空欄部
正社員なのに何年勤めても給料が上がらない-。定期昇給制度のない業種が増えている。従来常識では正社員なら年齢や経験とともに賃金が上がる。だが、介護関係や、販売店員などサービス業では正社員で長期間勤めてもわずかしか昇給しない状況が厚生労働省が三月末に公表した賃金構造基本統計調査(二〇一八年)で鮮明になった。政府は「同一労働同一賃金」を掲げ、非正規社員の待遇を正社員に近づけると言うが、実際には正社員「低賃金層」が急拡大している。 (渥美龍太) 「この業界では、寿退社の意味が普通と違います」。さいたま市の介護事業所で正社員のケアマネジャーとして働く女性(54)は言う。通常は結婚を機に、女性が育児に専念するなどで退社する意味。だが、介護業界では、結婚や出産でお金がかかるようになると、男性も女性も収入増を求め転職していく。「それほど給料は低く、ずっと上がりません」 女性が五年間の給与明細を取り出した。
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