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ブラザーに関するllenaのブックマーク (27)

  • 分家の買い物 - Everything You’ve Ever Dreamed

    これは病院から出てきて母と会ったさい、聞いた話だ。母は、僕をのぞいた家族の話を、身振り手振り物まねをしながら、じつに楽しそうに話をする。僕についての話をするときは、伏し目がち、吐き捨てるような早口、ため息の連続になるのだけれど。 静岡で暮らしている弟一家のことを母は分家と呼ぶ。今日、分家を訪れた母は、義妹とスーパーへ買い物へ行ったそうだ。分家には三人の子供がいる。三人とも男の子。僕からすれば甥だ。僕の家系は、男ばかりが産まれる。しかも全員血液型、B。おかげで僕は、母以外の女性ものの下着が物干し台ではためく情景をみたことはないし、自己主張合戦にならずに穏便に終わる家族会議も知らない。買い物には甥たちもついてきたそうだ。友達と遊びにいった長男をのぞく二人、六歳のカンと、昨夏生まれたばかりのワー。 買い物を終えた母はカートを押してレジに並んだ。義妹は赤ん坊のワーを抱っこ。母たちの前には同じように

    分家の買い物 - Everything You’ve Ever Dreamed
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    llena 2010/04/08
    さくせん:いのちだいじに
  • 豚肉は川になる - Everything You’ve Ever Dreamed

    「赤ちゃんが二十歳になるまで生きて成人式を見られたらその場で死んでもいいなあ〜」。郊外の豚しゃぶ店で、ひとあし早く事を終えた母が言った。八月の終わりに弟には子供が産まれる。三番目のタフガキ。弟は「ぜんぜん余裕だろー縁起でもねーなー。それに成人式で死んだら迷惑だろー。俺引き取りにいくのやだわー静かに布団で死んでくれー」と笑い、母も「バーカ。覚悟よカ・ク・ゴ。それくらいの覚悟で二十年生きるつってるの。まあ先のことはわからんから、今夜は肉をべといたー」なんて笑ってる。六十三歳の母が八十三歳のクソババアになって成人ベイビーを祝うのはそう難しいことじゃないと僕は思っている。弟も。おそらく人も。僕は、二人の話を笑いながら別の人間の死について考えていた。 六十を超えた母親が病や怪我で倒れる可能性はありうる話で、僕は心のどこかで準備ができている。準備ができる。僕が思いを巡らせているのは僕自身の死につ

    豚肉は川になる - Everything You’ve Ever Dreamed
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    llena 2009/07/22
    ちんこおおきくなれ!(3回目)
  • 松居一代十夜 第六十九夜 - Everything You’ve Ever Dreamed

    アルゼンチン人ダンサー、ファン・ロマン・マンクーソが三陸にある小さな港町にやってきたのは三日前のことだ。エルプリンチぺ!エルニーニョ!バイアグラ!熱狂と狂騒の渦でダンサーとして獲られるかぎりの称賛を得た彼は「ワールドツアー《マンクーソ博士の世界塔!見ないとらめぇぇぇ》」で訪れた東京の夜、フォーシーズンホテルのベッド、エロスに塗られた激しいスリータイムスの後、菊地凛子の陰毛のなかで三陸海岸のビジョンに撃ち抜かれ、翌朝、三陸へ飛んでいた。 ニューヨークで知り合った日人アーティスト、ミッキー柳井から教えてもらった《東洋の神秘ザ・ヘリコプター》で激しく交わったあと闇に浮くテレビテレビドラマ、額の広い黒いジャケットの男を見つけ、刑事役だろうか?顔をしかめたマンクーソに傍らで潮を吹いていた菊地凛子が潮を止めて「興味あるの?ミスターダンサー…。あなたの国のリオのカーニバルみたいに能天気な顔でしょ…あ

    松居一代十夜 第六十九夜 - Everything You’ve Ever Dreamed
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    llena 2009/07/16
    あまりにも暑いとやってらんなくなるよぬ/カニーヒア懐かしいなあ
  • 私の異常なお見合い・破 または私は如何にしてお見合い相手のチチを揉んで大きさに打ちのめされたか - Everything You’ve Ever Dreamed

    朝、目が覚めると泣いていた。布団に伸びた僕の右手は青白く、死んだ蛇のように見えた。左の掌で股間に触れてみる。シャクティーパット。エンゼルタッチ。大蛇は軟らかく死んでいた。僅かな希望とは裏腹に海綿体はとうに壊死しているのかもしれない。海綿体はどこかへ流れていってしまったのかもしれない。それでも人しか愛せない。海援隊が歌ったように、僕は。絵師の描いたエロ同人でつかの間の快楽に堕ちても、僕は。 麦殻が詰め込まれた枕の横で三体のこけし、ディルド君、こじゅうろう君、リトルこじゅうろう君が木製らしく冷ややかに僕を見下ろしていた。やれやれ。身体を持ち上げる。鎧兜、城郭が描かれたペイント、洋風の人形が僕を囲んでいて、埋葬品に飾られたミイラが見た世界みたいで思わずぶふぅと吹きそうになる。ここは僕がお見合いをしたシノさんの家の和室。前夜、酒をがぶがぶ飲んだ挙げ句、壁に特攻し怪我をした僕は泊めてもらったのだ。シ

    私の異常なお見合い・破 または私は如何にしてお見合い相手のチチを揉んで大きさに打ちのめされたか - Everything You’ve Ever Dreamed
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    llena 2009/06/19
    戦国時代に「まむし」って人がいたよねとかおもった
  • 暇なオッサンが清水寺と祇園の街並みを描いてみた!とまとめ - Everything You’ve Ever Dreamed

    今日は天気がよかったのでベランダでビールを飲みながら清水寺や祇園を描いておりました。夏はビールと蕎麦と水彩画と昼寝だね。やっぱ。 「第十二弾京都清水寺」 「第十三弾京都清水寺」 「第十四弾京都祇園」 最近はお見合い話が続いていて、ここがイラストサイトだということが忘れられている…というわけで今日は過去のブツをどーんとまとめて貼っておきます。 ↓ ↓ ↓ それではフミコ・ヨシフミ・フミオ画伯の次回作にご期待ください!

    暇なオッサンが清水寺と祇園の街並みを描いてみた!とまとめ - Everything You’ve Ever Dreamed
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    llena 2009/06/15
    カブトムシの日記が素晴しいサイトだって噂を聞いたことがあるよ
  • お兄ちゃんのお見合い - Everything You’ve Ever Dreamed

    お久しぶりです。フミコ・新垣栗山ゆま蛯原クリステル璃子です。お正月休みに、お兄ちゃんの行く末を心配したお母さんが、お兄ちゃんにお見合いを薦めてきました。お相手は知り合いの娘さんです。24歳のOLさん。お相手の趣味がコスプレと聞いた途端にお兄ちゃん、「コスプレが趣味なんてブスに決まってる。埼玉県出身?あーもう全然話にならない!俺は自分を安売りしねーぞ」なんて根拠のない戯言を台所の蛇口に向かって大声で言ってました(趣味コスプレの人ごめんなさい!)。誰も聞いていないのに、お兄ちゃん、また重圧に負けちゃったみたいです。初対面の人と会うときはお酒の力を借りないと話をすることはおろか、目も合わせられない駄目なお兄ちゃん。そんなお兄ちゃんが素面で若い女の人と会うなんて無理なことはお母さんもよくわかっているはずなのですが…。 お兄ちゃん、当はすごく興味があるくせに恐いから、面倒くさい、忙しい、それどころ

    お兄ちゃんのお見合い - Everything You’ve Ever Dreamed
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    llena 2009/01/20
    いっぺん診てもらいなよ
  • 想い出がオッパイ - Everything You’ve Ever Dreamed

    デスクの上に無造作に積み重ねられた書類は、早朝の路地に捨てられた夜のゴミを想わせた。パソコンの起動音がなり終えると受信箱を埋め始める未開封メールは、サラリーマンの群れが電車からホームに吐き出されるシーンを網膜の裏に再生させた。繰り返される冴えない日々。黒人大統領やキムタク総理が「チェンジ!」と叫んだところで僕の周りは何も変わらない。何も。 僕は事務所の片隅で忘れられていた足の歪んだ丸椅子をひっぱり出してシュレッダーの前に陣取り、コーヒーをすすりながら日付の古いダイレクトメールを片っ端から細切れにした。機械に吸い込まれていく紙の上、僕の目に飛び込んできた空はあの日と同じだった。同じ色彩を帯びていた。 「空が高い」なんて表現は嘘だとあのときの僕は思った。一年前の晩秋。ロボット展覧会の帰り。国立博物館から出て、上野公園の砂利道を歩く僕のうえの空は深く、青く、いまにも手の届きそうな距離にあった。黄

    想い出がオッパイ - Everything You’ve Ever Dreamed
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    llena 2008/11/18
    そのうちマジレスする
  • コスモナウトのうた - Everything You’ve Ever Dreamed

    床に落ちた消費者金融のティッシュペーパー。薄いビニールに印刷された笑顔が歪んでいる。僕はそれを拾ってポケットに突っ込んでから、上着を脱ぎ、鞄をラックに放り込み、窓際の席に腰を落とす。左では四角に切り取られた街並みが後ろへと流れ始めていた。午後5時半。この街の夕暮れは僕の住む街よりもいくぶん遅いけれどすでに夜の気配が忍び込んでいる。首を締め付けていたネクタイを緩め駅で仕入れておいたビールを一口飲み、ヘッドフォンで耳を塞ぐ。僕と同じようなスーツ姿の男たちの賑わいに膜がかかる。影によって色彩を失い見えない明かりの点きだしたビルディングはまるで方眼紙のよう。僕は僕のための音楽を、僕の耳で聴く。ヘッドフォンで仕切られた小さなハコでロックンロールが流れ始める。アージ・オーヴァーキル。 目を軽くとじ一日を振り返る。相手のうわの空のスタイル、空返事、軽蔑を孕んだ視線、空気洗浄器に吸い取られていく紫煙がつく

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    llena 2008/10/14
    とにかく腰をなんとかしなよ
  • 悲しみよさようなら - Everything you've ever Dreamed

    福岡の事件を聞いて僕はひどくショックを受けた。事件の続報を追う気力が萎えてしまうには十分なほどに。断片的に伝えられた事件の背景に僕の子供のころと似ている点があったからだ。身体に障害のある母親、発達障害のある子供、子供が親を詰り、親が子供を殺した。それが僕が知っている事件の全てといっていい。そして学童保育という単語。学童保育。ガクドー。僕も、両親の仕事が忙しかったので学校が終わると家ではなくガクドーに寄っていた。もちろん喧嘩はしたけれどそこでの時間はそう悪いものでもなかった。図書室でを借りて帰ればいくらでも想像の世界に没頭できたし、学校のものに比べると小さかったけれど鉄棒や滑り台といった遊戯具もあったし、ピアノやアコーディオンといった楽器もあった。いくらでも時間は潰せた。僕は扱いづらい子供だった。通信簿の備考欄みたいなところには「集団生活に難あり」みたいな記述がいつもあって、それをみても親

    悲しみよさようなら - Everything you've ever Dreamed
  • メロウ - Everything you've ever Dreamed

    午後3時。新宿は真夏の陽射しとビルの群れに飲み込まれたオフィスや飲店からの排熱と多種多様な店頭から流れる音とで巨大なスチームコンベクションとオーディオシステムのなかにいるような状態で、嫌でも汗がたらたらと噴き出してくる。既に仕事を終えていた僕はルールに則って会社に連絡を入れようとワイシャツのポケットからケータイを取り出しアドレス帳の「く」のページを開き「クソ会社」にカーソルを当てて通話ボタンを押す。ププププ。会社の代表番号は総務に繋がっていてわが社の誇るAカップガールマヤちゃんが電話をとる。「たった今、八戸でプレゼンを終えて新幹線に飛び乗ったところ。ちょっと定刻に戻るのは無理なので直帰するから部長に伝えておいてもらえるかな。ホワイトボードも消しておいて。それとお土産買えなかったけどえぇんか?えぇんか?あとさマイミクの件だけど…」「わかりました。結構です。お疲れ様」マヤちゃんは照れ屋なので

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    llena 2008/08/07
    忘れちゃえよ
  • 駄菓子屋ガール・ロックンロール - Everything You’ve Ever Dreamed

    地元にある駄菓子屋は婆さん一人で切り盛りしてるような小さい店でお世辞にも綺麗とはいえない。もう25年も前の話になるのだけれど、婆さんの駄菓子屋の店頭にはカラフルな飴玉がつまった瓶、駄菓子、水風船、零戦ヒコーキが溢れ、毎日のようにボンクラ小学生が取り囲んでいた。僕もそのうちの一人で「うまい棒」や「よっちゃんイカ」や「ベビースター」を毎日のように買っていた。そこは僕らの宝島だった。 ガンプラが流行ったとき、プラモ屋が「ド・ダイYS」とザクの「武器セット」を抱き合わせにするような阿漕な商売をして、「あそこではもうプラモ買わねー」「エンガチョ」「店の前に犬のウンコ置いちゃおうぜ」「立ちションしよーぜ」と百円玉3枚を握り締めたボンクラ小学生の失望と顰蹙と怒りの標的になったけれど、婆さんはそんな商売っ気を微塵も見せることなくガンプラが入荷するや否や「シャーガンダムあるよ〜」と僕らに声を掛けてひとつずつ

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    llena 2008/07/24
    その女の子が山本モナです
  • すべての言葉はサヨナラじゃないぜ - Everything You’ve Ever Dreamed

    風景、音楽、匂い、そして言葉。出会ったときにはとるにたりないようなものが後になってみると頭にひっかかって離れないようなことがある。断片。欠片。前後の文脈や意味は失われ、独立してしまっている記憶だ。僕の場合、「車に潰され、タイヤが三角形に変形してしまった三輪車」であったり、「大学の美術サークルでよく見掛けた女の子の妙に赤いリップ」だったりする。今、僕の頭をかすめて離れようとしないのは君のあの言葉だ。東京、冬の夜。どこかの駅の構内で言われた言葉。時を経るごとに酸化して、変容して、僕を締め付けている。呪いのように。 総務のマヤちゃんと映画を観に行った。突然だった。昼前に連絡が来て、午後には映画館のチケット売り場前で待ち合わせをしていた。七夕≒浴衣という僕の淡い期待はあっけなく裏切られ、胸の部分に英語の文字がプリントされたオレンジ色のTシャツと膝下までしか丈のないジーンズにサンダルという姿でマヤち

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    llena 2008/07/07
    はちまきに鳥の羽を立てたジェロニモ風で再チャレンジだ!
  • 2008年部長の旅 - Everything You’ve Ever Dreamed

    魚には骨がある。喫茶店での打ち合わせを終えて前を走る細い路に出た。陽射しで視界が真っ白になったその瞬間に、部長は言った。魚には骨があるという言葉を知っているか、と。 人の言うことを正確に把握するのはとても難しい。完全にわかりあうことは恐らく不可能だ。発信する側、受信する側、双方にそれぞれの問題があるから。僕らは経験や知識を駆使して相手の言わんとすることを探し当てる。手探りだ。会議やプレゼンで使用されるレーザーポインタを用いてピンポイントで対象を指し示す難しさに似ていると思う。先ず標的の周辺部を照らし、それから目標にじりじりと近づいていく。そういう感覚。 今回のプレゼンは先方の要請でパワーポイントを使用することになった。僕の役割はパソコンとファミコンの区別が出来ているのかさえ怪しい部長のサポート。プレゼンテーションの一切は部長が行うことになっている。そのための打ち合わせだった。 知りません、

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    llena 2008/06/12
    SWATとかが持ってるライフルで狙われてたんだよ部長さん
  • オッサン・クルージング・ラヴ - Everything You’ve Ever Dreamed

    この春から最寄りの駅まで自転車を使って通勤している。バス代の節約と健康のために。朝7時半ちょうどに赤いママチャリにまたがる生活。朝の空気が体の外側を流れていく感覚は思いのほか、心地よいものだ。女の子の横を過ぎるときにはストールする寸前まで徐行。二人乗りのアベックのうしろに貼り付いてスリップストリーム。あぁ朝がこんなに楽しいなんて。 先々週だろうか。奴が現れたのは。僕の娯楽を侵略する悪い奴。白いママチャリを駈るオッサン。推定五十才。圧倒的なスピードで僕をぶっちぎっていく。抜いた瞬間にジリジリっと錆びたベルを鳴らす。最初は気にしなかったのだけれど、毎朝、追い抜かれていたら世界中のどんな平和主義者だって自転車に油をさすだろう? 奴のスピードの秘密は独特のフォルムと地の利にある。フォルム。奴は前頭部が禿げている。毛髪は後頭部に縞模様を描く程度に遺すだけ。空気抵抗は限りなく少ない。地の利。奴は丘の住

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    llena 2008/06/09
    髪の毛なんて飾りです、若い人にはわからんのですよ。とかそういうの。
  • マリナの胸は夜ひらく - Everything you've ever Dreamed

    告白しよう。君について真っ先に思い出すのは、顔や声ではない。オッパイだ。ドレスからはみ出てしまいそうな大きなオッパイだ。帰宅途中に街頭で手渡されたティッシュ。裏返すと風俗店の小さなチラシが挟み込まれていた。チラシ全体を艶やかな桃色が覆う。その艶やかな色合いは初めて会ったときに君が着ていたドレスを思い出させた。マリナ。いま、君はどこにいるのだろうか? マリナ。僕が君のことを想うということ。それは痛みを伴う行為だ。わかるだろうか?君に。ズクズクと古傷が痛む感覚が。僕はずっと昔、右手の腱を切った。今でもたまに痛むときがある。医者は完治していると僕に告げるだけだ。だが痛みが僕を離さない。僕も痛みを忘れない。そういう感覚。僕にとって君は傷をつける鋭利な刃物であると同時に傷そのものだ。そして僕らの関係は過去にしか存在しない。過去について想いを馳せる。言葉にする。希望をみつける。夢を見出す。全てが終わっ

    マリナの胸は夜ひらく - Everything you've ever Dreamed
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    llena 2008/06/04
    ヨシフミ先生の次回作『マリネの鯵は三枚におろす』にご期待ください
  • あの夏、地上最大のオッパイが。- Everything You’ve Ever Dreamed

    ピーチジョンのエロティックな広告写真。ホームに滑り込む電車の騒音をバックミュージックに、それを舐めるように見ている僕の後ろを一人の淑女が通り過ぎて行った。振り返り横顔を見る。間違いない。彼女だ。あの夏、僕の人生を、僕の未来を変えてしまった地上最大のオッパイの主。ヴィーナス。声をかけようとしたが名前を思い出せなかった。あれほど追い求めた存在であったのに。 1991年の夏。高校三年生だった僕と悪友の西ヤンは腐っていた。真面目にやっている連中、反抗している連中、すべてを斜めから見ていた。授業。夏期講習。体育祭の創作ダンスの練習。すべてをサボタージュして大半の時間を第二校舎の屋上で潰していた。僕らは屋上を「ヘヴン」と名付けて、毎日のように、流れていく雲や富士山のシルエットを眺めたり、昼寝をしたり、買ってきたエロを模写するという意味のない行動をしていた。空は青く、太陽の陽射しは心地よかった。いつか

    あの夏、地上最大のオッパイが。- Everything You’ve Ever Dreamed
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    llena 2008/06/02
    ごめーん。ピーチジョンの広告こっそり盗んだのおれなんだ
  • エマージェンシー!オッサンをなんとかして! - Everything You’ve Ever Dreamed

    地元の青年会は季刊紙を春、夏、秋、冬と年四回発行している。僕は青年会書記代理という要職に就いているので、こないだの日曜の午後はその季刊紙の「夏の号」打ち合わせに参加していた。夏。もう夏なのだ。そういえば暑い。僕がぼうっとしているうちに空気は初夏特有のカラっとした熱を帯びていた。 公民館のいくつかある中会議室の一室を貸し切り、折り畳み式の長テーブルを4つ正方形のカタチに組み合わせ、パイプ椅子を並べ、即席の会議場を仕立てた。メンバーは会長オッサン、会計オッサン、書記オッサン、お祭り部長オッサンと謎のオッサン1号、2号とオッサンV3と僕の8名しかいないので、普段は週末の社交ダンスの練習場にも使われる広さを持つ会場は少々大袈裟かもしれない、なんて思いながらパイプ椅子を並べていた。 恐るべし。全員が着席した瞬間にこれだけのスペースがオッサン特有の臭いで充たされるのだから。オッサン恐るべし。何もいわず

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    llena 2008/05/27
    おっさんだらけの春祭り。ポロリは犯罪だでよ
  • 甲殻のガールフレンド - Everything you've ever Dreamed

    奇蹟なんてそう滅多に起きるものじゃないなんてことは僕にだってわかっている。たとえば大事故のニュース。生存者の見込み無し。「無し」。わかってる。そんなことは。でもさ、そんなとき、一人でも、一人でいいから救われて欲しいと思う。暗いニュースを見るたび、そんな奇蹟が起きるのを僕は信じてやまない。 昼、天津丼をべていた。卵にとじられた蟹の欠片を箸で持ち上げ、口に運ぶ。味の染みたご飯をかきこむ。そんな事の最中に、ふと、蟹を飼おうと思った。川原にいる地味な奴や、アメリカからやってきた海老っぽい面をした奴じゃなくて、ズワイかタラバ。個人で飼育できる生き物なのかどうかは知らないけれど。そして卵から孵った子ガニ達を海へ放つんだ。 挨拶に毛が生えたようなメールを送ることなく消している。送り先のアドレスと電話番号を自棄になって消してしまったせいで送れないのだ。お酒が入るとそんなことを忘れてしまう。いざ送信しよ

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    llena 2008/05/21
    栗と蜂と臼と牛の糞が助太刀してくれるよきっと
  • 今日が我が家の母の日です - Everything you've ever Dreamed

    「母の日」に弟夫相談して花を贈ることにした。ちょっとした仕掛けを施して。花は宅急便で送られる。オカンはオヤジが亡くなってからずっと葬儀屋で働いている。仕事仕事なので、お通夜があったりすると家に帰るのが遅くなり宅急便を受け取れない。「母の日」から二日。今日、やっとオカンのもとに花が届いた。僕が家にいて宅急便を受けてしまっては台無しなので今日まで家に帰らないで酒を飲んでいた。家の扉を開けるたびに「このアル中!」と罵られた。息子心、母知らずである。 これが届いた花。 これが仕掛け。甥二匹をニンテンドーDSから引っ剥がして書かせた。オカンは「まだ働かせるつもりかねえ」と言いつつも嬉しそうだった。ついでに「あの子たちがアンタみたいな失敗作にならなければいいねえ」とも言った。息子心、母知らずである。世間がどうあれ今日が、フミコ家の母の日、もとい婆の日なのである。世の中のオカン…お前ら皆、グレート

    今日が我が家の母の日です - Everything you've ever Dreamed
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    llena 2008/05/13
    しみじみいい話だ!
  • 暇なオッサンがステンドグラスをつくってみたよ - Everything You’ve Ever Dreamed

    昼過ぎからベランダでビールを飲んでいた。アルコールが入ると絵を描きたくなってウズウズするのだけれど、今日は水彩画ではないものを描きたいなあなんて思い、部屋の隅に転がっていた素材を使ってステンドグラスみたいなものをつくってみた。お絵描きシリーズ第七弾『京都 清水寺』。作り方は簡単。鉛筆で下書きを書いて、半透明のシートをカッターやハサミでチョキチョキと切って、貼っていくだけ。最後に白と透明のアクリルボードに挟みこんで完成。 背後霊のような陰気なオッサンが反射して映ってしまって申し訳ない。夕焼けと薄い雲の色合いの動きみたいなものは描けたかな、と思う。作り終えたときに雲の切れ間から夕焼けが射してきたので、おおこれ天啓!と透かしてみた。 夕焼けに透かしてみると大自然の力で僕の絵も魅力三割増しだ。厳密に言ったらステンドグラスではないけど、まあいいだろう。話は飛ぶというか私信なんだけれど、絵がいつもより

    暇なオッサンがステンドグラスをつくってみたよ - Everything You’ve Ever Dreamed