プエルタを追悼するセビージャの町の人々。そこにはセビージャとベティスを隔てる境界線は存在しない【 Photo:ロイター/AFLO 】 皮肉なことに、セビージャの左サイドバック、アントニオ・プエルタの予期せぬ死は、スペインで誰も成し得なかった現象をもたらした。セビージャの町を二分するライバル関係にある2つのクラブの会長――ホセ・マリア・デル・ニド(セビージャ)とマヌエル・ルイス・デ・ロペラ(ベティス)が、プエルタの遺体の埋葬前に互いの肩を抱き寄せたのだ。 わずか半年ほど前に行われた国王杯準々決勝の第2戦では、最も激しいダービーの一つと言われる両者の対決だけに、セビージャのフアンデ・ラモス監督にスタンドからボトルが投げ込まれて試合が中止になるという、ばかげた事件が起こった。しかしこの日、そうした敵対心は脇に置かれた。 恐らく、これを機会にスペインのフットボール界は理解したことだろう。社会の