大学を出て最初に就職したのはミランダカメラでした。国産初のペンタプリズム式一眼レフカメラを発売した老舗企業。ここで5年半ほどカメラの設計をしていました。もっともベンチャー企業でしたから、設計技術者は社長と私だけ。東京大学の先生に機械設計や部品加工技術を教わりながら、手探りで実践していました。生まれつき、独創的な商品や企業に惹かれる性質なのでしょうね。 対米輸出で業容拡大したので、アメリカの商社に増資してもらいました。ところがこの商社が、新製品を見るとすぐ「2〜3カ月後に大量に売ろう」だとか単純なことを言う。とにかく早く投資を回収したいわけです。カネを出して工場を建てるだけでなく、技術者を教育したり治工具類を自前で作ったりしなければ生産できないということが、技術屋ではないからわからないのですね。 これは嫌だと思っている折に、ソニーが中途採用をしていると知り、応募しました。東大の先生らから