王貞治氏は今も次代を担う子供たちや若者の指導に汗を流している。不滅の大記録を打ち立てた同氏が、今でも純粋に「野球」と向き合い、走り続けているのは何故か。そこには古き良き日本への思いがあった。以下、王氏が語る。 * * * 12月に母校、早稲田実業高等部の忘年会が開かれた。第29回選抜高校野球大会の優勝を記念した「紫紺会」だ。 当時16歳だった連中が今では73歳。お互いに自由な時間が持てるようになってくると、昔が懐かしくなってね。レギュラーだった連中も、そうじゃない連中も一緒になって、「あの時はしんどかったね」、「あんたにはよく殴られたねェ」なんて笑って話すんですよ。 今の時代は「殴られた」なんていうと、すぐ暴力だといわれてしまうけど、当時はそんなこと思いませんでした。 一緒にきつい練習をして、同じ目標に向かって頑張っている仲間同士。何度も何度も練習したのにどうしてできないんだとい