かつて商店街の一角に必ずといっていいほどあった「豆腐屋さん」がめっきり減っている。店主らの高齢化に加え、原料が値上がりし、採算が取れなくなったためだ。東京都内では昨年1年間に83軒が廃業。都豆腐商工組合の柳本恵三理事長は「あと10年たったら、都内の豆腐店は3分の1以下になってしまう」と危機感を募らせる。全国でも最盛期は5万軒を数えた豆腐製造業者が、平成18年度末には1万3000軒を割った。豆腐店はいずれ消えてしまうのか…。(道丸摩耶) 東京都江東区亀戸の豆腐店「豊田屋」。店主の石山博三さん(68)は、半世紀続けた小さな店を今月末にたたむ。 「365日休まずにやってきたが、体もつらく、もう限界。後継者がいないんだ」。高3年の時、急逝した父親の跡を継いだ。そのころは、店に若い従業員が3、4人いた。近くの学校や食堂から注文が入り、自転車で配達に行ったものだった。今は従業員もいない。数年前に足を痛