3月1日から香港で施行された条例が、中国で大きな論争を引き起こしている。いや、正確に言えば論争はほぼ「香港vs中国」状態に近く、このまま民間感情がヒートアップすれば、経済的な資源を大きく中国に頼っている香港に大きなダメージをもたらしかねない、とわたしは懸念している。 これは正確には既存の「進出口(一般)条例」の2013年版が改正されたものだ。これまでなかった「許可証を持つ者を除き、粉ミルクの輸出を禁ずる。年齢16歳あるいはそれ以上の人物が、24時間以内に1.8キロ、即ち二缶を超える粉ミルクを香港外へ持ち出してはならない」という条項が加えられ、実際に施行初日の1日には香港から中国へ向かう税関で香港人8人を含む10数人がこれに違反したとして拘束され、粉ミルク50缶あまりが押収された。中には一人で15缶を持ちだそうとした人もいたという。 だが、なぜ「粉ミルク」なのか? それも酪農国でもない香港が