六本木アンダーワールド──TSKCCCビル盛衰記1 「猛牛」から笑みがこぼれた日 永原 一子(2007-05-17 05:00) 東京・六本木。3月末オープンしたばかりの東京ミッドタウンと、六本木ヒルズをむすぶ南北線上に、工事用の柵に覆われた一角がある。建物には「東亜相互企業」と書かれた看板がかかり、「TSKCCC」とのロゴマークが見える。このビルは1970年代に一世を風靡し、政治家、事業家、芸能人らが多数集まった。今や国内最大にして、最後の地上げ物件と言われ、再開発の波に消えようとしている。都心一等地の廃ビルに隠された物語をたどる。(文中敬称略) 1枚の写真がある。白が基調の、シンメトリーの構図が美しい写真だ。 白い大理石の部屋、白いアールデコ調のテーブルを前に、羽織袴と、白いブラウスにロングドレスで正装した夫妻が微笑む。戦後の焼け野原から愚連隊のボスとして頭角を現し、ヤクザ組織「