社会人になって最初に命じられた仕事は、毛虫を取ることだった。 想像していた仕事とは違っていた。 まさかそれが30年以上続くとは思っていなかった。 でも今は、毎年、たった1週間のためだけにすべてをかける。 そんな春の守り手が大阪にはいる。 (大阪放送局 ニュースリポーター:小川真由) 新人研修のあとに… 大阪にある造幣局の職員、渡邊秀勝さん。 造幣局を志望したのは、巧みな技術が必要な国の勲章を作りたかったからだ。 しかし、1か月の新人研修を終え配属が決まったある日、上司についてこいと言われた。 桜の木にびっしりと列をなしているのは毛虫。1匹や2匹ではない。 「落として捕まえんねん」 毛虫を触るのは、子供の頃以来だった。 それから30年。 渡邊さんは“桜守”と呼ばれている。