インフルエンザウイルスはヒトのみならず、様々な動物から分離される。これらのウイルスの起源及び相互関係を明らかにするために、各種インフルエンザウイルスを系統発生学的に比較し、以下の概念を確立した。1)すべてのインフルエンザウイルスは、もともとは、野生の水禽類に存在するウイルスに由来する;2)水禽類のインフルエンザウイルスは進化学的には、既に平衡状態に達しており、ウイルスは、本宿主においては、何ら病原性を示さない常在ウイルスと化している;3)インフルエンザウイルスは水禽類から各種動物に、また各種動物間で比較的頻繁に伝搬している;4)新たな宿主に伝搬したウイルスは、より迅速に進化し、新たな環境に適応する。以上の知見は、インフルエンザウイルスのみならず、他のウイルスの進化過程にも該当する普遍的な概念である。さらに、各種動物間でインフルエンザウイルスが高頻度で伝搬しているという事実は、以下に述べるパ