(約2200文字) 前回は、私は病棟の入院患者さんにはモテると言ったけど、もちろんみんながみんな私に笑顔と褒め言葉で迎えてくれるわけではない。 ある男性患者さんは、いつも私が会いに行くたびうるさそうに手で払いのけるような仕草をしながら、 「あっちいけぇ!」 「こっちくんな!」と言う。 そう言われて私は嬉しくてニヨニヨする。 60代の知的障害とてんかんを持つ男性患者Aさん。会話のパターンが限られている。 「うんこ、ようけ出た!」 「おしっこ、ようけ出た!」 そして言うことがなくなると、 「もう、あっち行けー!」と言う。 いちど、どうして「あっちいけ」なのか聞いてみた。すると、 「男の部屋に、女が入ったらあかんやろ!」だそうだ。 彼はいつも「俺は大人の男やから!」と言うが、小柄でボキャブラリーも幼いので、本人の望む像とは裏腹に、どうしても可愛らしく思えてしまう。 以前看護師が「あー、Aさんたく