IPSecの解説に入る前に、暗号化通信の仕組みについて、簡単におさらいしておこう。暗号化通信では、通信に先だって「暗号鍵」と呼ばれるものを通信相手同士で交換しなければならない。暗号鍵とは、例えば、「1101101....」といった長さが数十ビットから1000ビット程度のデータ(ビット列)である。暗号鍵は当事者以外には絶対に漏らしてはならないものであり、また簡単に推測されるようなものであってもならない。たとえば、暗号鍵が2ビットであった場合、4通り鍵を試しただけで、暗号が解読できてしまう。こうした総当り的な暗号解読を防ぐためにも、暗号鍵の長さは重要となる。一般に暗号の強度は、暗号鍵の長さによって決まり、長いほど解読が難しいとされている。とはいえ、暗号鍵が長いと暗号化、復号化に要する計算量、時間が長くなるので、用途に応じた適度な長さのものを使用するべきであろう。 送信側は、送ろうとするデータに