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2018年6月27日のブックマーク (1件)

  • ナツ 四日間だけの家族 - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 210 ── 僕が歩いている。 その瘦せぎすの子を見てなぜそう思ったのか分からない。僕が歩いていると瞬間的に思った。真昼だ。子と言っても、ほんのまだ生まれたてのようなだ。元の色も知れないほどに黒ずみ、今にも倒れそうな足取りで人気もない裏通りを歩いている。蝉しぐれを全身に浴びながら。 いやなものを見たと思った。ふだん通りもしないこんな裏道をなぜ自分は選んだんだ? 憤りにも似た感情を覚えた。こちらも歩きだ。足を早めた。すれ違うときに横目で見下ろした。もう長くは持たないなと思った。骨と皮だ。どうして生まれたてみたいなこんな子がたった一匹でいるんだ? もう長くはない。手遅れだ。いやなものを見た。忘れよう。 どうして家につれて帰る気になったのか自分でもはっきりしない。抱きかかえても何の抵抗もしなかった。ぐったりしていた。疲れきった獣の臭いがした。 家の床へ下ろし

    ナツ 四日間だけの家族 - Blue あなたとわたしの本
    lucciora
    lucciora 2018/06/27
    必然的な出会い…ですよね、きっと。おたがいに十分に与えられたのだと思います。