「コアの径が10ミクロンとか、一気にそういう話になりました」と、住田光学ガラス研究開発本部素材開発部副主席技師の高久英明は振り返る。「フッ化物ガラスはもともと屈折率が低いのに、クラッド(芯の外側)に使っているガラスの屈折率はそれよりも低いところに持っていかなければならない。さらに、膨張係数も柔らかくなる温度も合わせなければならないし、当然、結晶化してはいけないし、水にも強くなければいけない・・・もう、いくつも課題がありました」 なるべく簡易に使えるようなフッ化物光ファイバーを作ろうとするが、やっぱり駄目。高久らフッ化物光ファイバーの担当メンバーは、緑色レーザー発振に取り組む研究開発本部素材開発の主幹技師である山嵜正明のアドバイスを踏まえて、また最初から考え直す。この繰り返しだった。 一難去って、また一難 ミッションに取り組んで6年――。2005年の夏、ついに山嵜が求めるフッ化物光ファイバー