中国の唐の時代は中国史上でも最も栄えた時代の一つである。中国史上、屈指の名君として名高い唐太宗は為政者として自らを厳しく律して政治にあたり、太宗の治世は「貞観の治」と呼ばれ中国史上最も良く国内が治まった時代とされている。『貞観政要』は唐太宗と太宗を補佐した名臣との政治問答集で、日本では徳川家康が非常に愛好していたのをはじめ、数々の為政者が『貞観政要』から為政者はどうあるべきかを学んでいる。 貞観の初め、唐太宗は侍臣に言った。「王である者、まず人々の生活が安定するように心がけなければならない。王が人々のものを絞り上げて自分に捧(ささ)げさせても、自分の股の肉を切り取って食べるようなものだ。腹一杯になったときには身体がもたなくなっている。天下の安泰をねがうならば、まず自らを正さなければならない」 「身の破滅を招くのは外因ではない。みな自分の欲望が破滅を呼ぶ。いつも美食にふけり音楽や女色に心奪わ