流された2階で水に漬かりながら壁づたいに外へ出た。つかまる場所を探して、屋根の方を見ると、くぎが1本、柱のようなところから出ている。右手で屋根を抱えるようにして、左の手のひらを押しつけるようにしてくぎに刺し、抜けないようにした。 「そのまま手を下に曲げてさ、手にくぎがひっかかるようによ。つかまるところがないのだもの。流されると思ったからねえ。異常な精神状態だったんだねえ。そのまま6時間ぐらいか、大体1キロぐらいは流されでいったように思う」 凍るような水の中、必死に屋根にしがみついた。 「人が流れでくの助けられながった。何人も、何人も、波から顔出して、『助けでー、助けでー』って言いながら(波に)運ばれでった。俺は手をくぎに刺してだし、右手もつかまってだがら、どうしようもながった。あの人たちはみんな、だめだったろうね」 雪が降ってきた。凍えるような寒さの中、徐々に意識を失っていった。その後、自
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く