環境・拡張・音響。 - デンシノオトいわゆるフィールド・レコーディング作品は、ここ数年の流行といってもよく、事実、多くの作品がリリースされてきた。だが、単に「素材の音響にシンセのパッドをかぶせ、いくつかの音響と編集しただけ」のような作品も多くみられたことも事実だ。 それは例えるならフィールド・レコーディングの「スナップショット化」とでも呼べるべきものである。確かに情景や聴覚の記憶のバリエーションとしては楽しめるものの、正直、何度も聴けるものではない。コンポジションの力と意志が弱いからだ。それゆえこちら側の聴覚の遠近法を食い破るかのような革新的な音響に出会えることは滅多になかったといっていい。 evala氏の新譜『acoustic bend』は、そんな状況の中、フィールド・レコーディングから出発した音響作品の中ではまさに圧倒的な完成度を誇る傑作である。まさに音響のありようを一気に革新、拡張してくれるのだ。 とはいえ、急いで付け
