西田宗千佳の ― RandomTracking ― HMDではなく「メディアポート」 “ながら見”の新感覚。ニコンが「UP」を作った理由 2008年ももうすぐ終了。本連載も2008年掲載分はこの記事が最後となる。毎年「こんなものが出てくるとは!」という驚きのある商品はあるが、2008年、個人的な最大の驚きは、ニコンが「UP」というビジネスを始めると発表したことだ。 小型のディスプレイを目の前に置くという、いわゆる「HMD」(ヘッドマウントディスプレイ)を使った商品だが、まさかニコン自身が、「ビジネス」として参入するとは、まったく予想していなかった。なにしろ、HMDは'80年代あたりから失敗続きの、コンピュータとディスプレイ業界にとっての「鬼門」であったからだ。 そこになぜ、光学機器メーカーのニコンが参入することになったか? 非常に大きな疑問を感じていた。すでに、本誌の小寺氏のレビューを含め