0.重厚長大 世の中には、名作文学作品とよばれながらも、あまり出版されていなかったり、もしくは、タイトルは聴いた事があるけれど、読んだ事がない人が多いような作品が結構ある。そんなものの中から、今回は、特にあまりにも長くて、難解で、それこそまともに完読した人がどれほどいるのだろうかという作品を集めてみる。 1.ジェイムズ・ジョイス:ユリシーズ 近代文学に革命を起こした人物といっても過言ではないアイルランド出身の作家、ジェイムズ・ジョイス。その代表作が、ユリシーズ。ある事件に特化して描くのではなく、街ごとそのまま描いてしまうという作品で、そうであるが故の、大作。現在集英社から出ている文庫は、かなりの分厚さを誇るものでありながら、全四巻という長大さ。この作家の作品の場合は、その街・その時代・登場人物について、詳細な注釈が膨大につくという事も、出版物の長さに貢献しているとはいえ、なかなかの大作。し