IT業界でも“人の育成”が問題になっている。しかし、一部で話題の能力向上自己責任論は現実的ではない。独力で力を付けられる人間はごくわずかだ。部下の育成は「上司・管理者の大切な業務の1つ」だと考えるべきである。今回は、上司と部下の関係や部下の育成方法などを考える。 はじめに IT関係の多くの組織において、人の育成が問題になっている。 書店には、「SEのための……」や「プロジェクトマネージャの……」といったハウツー本が並ぶ。問題を細分化したり、言葉を新しくして再定義したぐらいで解決できる問題ではないのだが、人間力、EQ、コーチング、……などなど、人の能力にかかわる新しい造語がちまたをにぎわしている。 一方で、一部にある能力向上自己責任論は現実的ではない。独力で力を付けていける人は、世の中には一握りしかいないからだ。普通の人は、周りの人の手の掛け方次第で育ち方にかなり差が出る。人材育成の手間を省