命落としに会社に行かないで 「命落としに行くのなら、会社になんか行く必要ないよ」 北関東地方在住で金融機関に勤めていた丸山良平さん(46)=仮名=は、その時の妻の言葉を忘れない。 丸山さんは地元の金融機関にシステムエンジニアとして新卒で採用され、20年以上、働いてきた。40代になると本部の課長職としてシステムの統括責任者を任された。 出世には大して興味がなかったが「あのまま働いていたら、そこそこの役職にはなったかもしれません」。会社の期待はあったように思う。 ただ、ある上司の存在で、丸山さんは会社に行けなくなった。 役員に昇進したてだったその上司は、常に職場の部下のひとりにつらくあたることで知られていた。集中的に攻撃されていた同僚が異動すると、次にターゲットになったのが丸山さんだった。 ちょっとしたことに激昂し、同僚や部下の前で怒鳴りつける。1時間以上も職場に立たされる。叱責の理由も、正直