すでに東京や神奈川など関東に14店を構える一蘭は、ここでスープや食材を仕込んで、各店に送り込んでいる。前回のコラムで紹介したように、「個室カウンター」で集中して味わってもらうシステムなど、独自の取り組みで急成長している。 その秘訣が「どの店でも同じ味を再現すること」だった。それは、繰り返し来店する客の期待を裏切らないということだ。 これまで幾多の繁盛ラーメン店が、多店舗展開を果たせなかった壁だった。「名店」と言われても、零細企業で終わってしまう。料理人の微妙なさじ加減が味を大きく左右するラーメンで、「均質」に作ることは極めて難しい。 この横浜工場には、そんな業界に立ちはだかる壁を破るノウハウが詰まっている。 対応してくれた一蘭の幹部は、後述するように、その仕組みを工場の会議室で語ってくれた。だが、どうしても工場の中を見せてくれない。 「ちょっとだけラインを見せてくれませんか」 「いや、それ